vol.40 この機会に無駄な保険を見直そう!その2
前号に続き、保険の種類や特徴を更に詳しく学びましょう
終身保険の場合、保険契約の全部または一部を解約することによりお金が戻る貯蓄性があります。
このお金のことを「解約返戻金(へんれいきん)」、そのお金の戻る割合を「解約返戻率(へんれいりつ)」と言います。
(99才満期定期も一部同様の仕組みとなりますが、ここでは割愛します。)
定期保険は基本的に解約返戻金がない「掛け捨て」タイプが主流です。
終身保険には以下2つの特徴があります。
「払込期間(保険料を払う期間)」の長さにより、払込終了直後の時期の「解約返戻金(解約返戻率)」が異なります。
万が一の時の保険金を一定額とした場合、保険料は払込期間を長くすると安くなり、短くすると高くなります。
この特徴を生かし、払込期間を短くすることで将来解約した時に戻るお金「解約返戻金(解約返戻率)」を多く(高く)することができます。 下の図は終身保険の仕組みを示しています。
ポイント
- 赤い線の解約返戻金と青い線の元本(支払保険料総額)を超える元本到達点を見比べると、下の図Bの方が時間的に断然早い。
- 元本回収を早くに確保したいなら、下の図Bにように払込終了をできる限り早くすることです。
- 保険料を低めにしたいなら上の図Aのように払込終了を遅めにすることです。
メリット
- 終身保険は保障が一生続くので、解約しない限り保険金受取人(配偶者や子ども)は必ず保険金を受取れます。
- 貯蓄性があるので、一定期間(上下図の元本到達点A及びB)を超えると解約するまで利息相当分が増え続けます。
- 子どもの進学にあわせて解約すれば「学資資金」としても使えます。
- 解約返戻金をベースに保険会社からお金を借りることができます。(借入金利は高めです。)
デメリット
- 払込終了までに解約すると大幅に元本を割り込みます。
- 貯蓄性がある分、保障だけを見た場合には『掛け捨て定期保険』より保険料が割高になります。
『掛け捨て定期保険』には「解約返戻金」はありませんので、保険料が終身保険よりも格段に安く以下の方にお勧めです。
- 「学資資金」や「老後の資産形成」の必要がなく、貯蓄や運用を生命保険以外で計画できる方。
- 経済的に余裕はないが保険を必用とする方。
しかしながら、何よりも重要なことは、その保険が本当に必要なのかを慎重に検討することです。
終身保険の解約返戻金(率)は「市場金利」の影響を大きく受けます。
払込期間を短くし解約返戻金(率)を高めても、昨今の超低金利環境下では昔ほどの魅力はありません。
バブル時代には途中で解約してもその解約返礼率は200%、なんと元本の倍!以上で戻る貯蓄性の高い保険もあったので夢の金融商品でした。
そんな記憶もあり、子どもが生まれるとご両親から「保険に入りなさいよ!」なんて言われた読者さまも大勢いらっしゃると思います。
ところが現在は、仮に20才で契約し、30才までの払込期間で契約して、38才(契約後18年)で解約した場合の解約返戻率は104~105%程度です。
お金が急に必要になった時に対応できるだけの貯蓄があり、元本到達点までお金を貯めながら、一定額の保障も欲しいという方は検討しても良いでしょう。
(学資保険についてはvol.5もご参照下さい。)
しかし、保険契約である以上「元本到達点」までの間に、もし急遽お金が必要になった時には、解約により元本が大幅に減ってしまう契約であることを絶対に忘れてはいけません。
ましてや、外貨建てで「学資資金」確保などを考えてはいけません。
ご自身が支払った保険料の交換為替(平均)レートよりも市場が円高になれば更に元本を大幅に割り込むリスクがあるからです。貯蓄のつもりが、ふたを開けたら減っていたでは本末転倒ですよね。
そもそも、日本には大変充実した社会保障制度があります。
終身か定期かを決める前に、先ずは社会保障の内容をきちんと確認し、保障が不足すると思われる場合に民間の保険を検討すれば良いと思います。
次回はその内容を詳しく検証し、本当に必要な保険とはどうあるべきかをお伝えします。