vol.5 子どもが出来たら学資保険 本当に必要なの?

子どもができたら学資保険。本当に必要なの?

昔と今では大違い 大学進学などの際にまとまったお金を確保するための学資保険

子どもができたら「学資保険」。ほとんどの方が耳にされる言葉ではないでしょうか。経済的に余裕のある方でも、子どもの将来を考えて準備される方は多いと思います。

 では、学資保険とはどんな保険なのでしょう。

 中学・高校・大学に進学する際に必要なお金が受け取れる。保険の特質を生かして、子どもが病気やケガをした時には保険金(保障)がおりるから安心。  そんなイメージを持っている方は多いのではないかと思います。このコンセプトに間違いはありませんが、昔と今では資金の貯まり方(受取金)が全然違うのです。

学資のはずなのに

学資保険に加入する方の大半は大学資金の準備を意識されます。なかには、中学・高校への進学時にもある程度まとまった資金確保を意識される方もいらっしゃいます。

 保険なので「万が一」の時には保険金(保障)がおりて、進学で必要な資金も貯められるから一石二鳥だと思い込んでいる人は少なくありません。

 大学へストレートで進学すれば子どもは18才です。子どもが生まれて間もなく学資保険に加入し、18才を迎える頃に満期を迎え、支払った保険料総額の130%を受け取れた!と夢のような話は昔のことで、加入(付加)する保障の内容にもよりますが、今は逆に支払った保険料総額の100%を下回る受け取り(元本割れ)になることがあるのです。

 「え?元本割れとはどういうこと?だって進学で必要だから学資保険に入ったのに!」

日頃の業務でも検証させて頂いた結果、この手のお話はザラにあります。

学資保険とはどんな保険か少し勉強してみましょう

少しだけ保険の専門用語が出てきます。

契約:保険に加入すること

お祝い金:進学時に受け取るお金のこと

満期:契約が終わること

満期学資金:契約終了時に受け取るお金のこと

保険に加入する時には当事者が3人になります。

契約者:保険料を払う人で保険契約をする人

被保険者:保険の対象となる人、つまりこの人に病気やケガ、そして亡くなられるなど「万が一」が起こった場合に保険金(保障)がおります。

受取人:保険金(保障)やお祝い金・満期学資金を受け取る人

学資保険加入には一般的には以下の当事者となります。

契約者:子どもの父母、祖父母

被保険者:子ども

受取人:子どもの父母、祖父母(税金の関係から契約者と同じにするのが一般的です。)

内容は以下になります。

被保険者となる子どもが18才か22才になる年に満期を迎えるように契約します。

中学・高校・大学を進学する際に「お祝い金」と称して分割して受け取るタイプと大学進学時に「満期学資金」として一括で、もしくは大学在学中に分割して受け取るものなどご希望に沿った選択が可能です。

特約で、契約者である父母や祖父母に「万が一」が起こった場合に、保険料を支払わなくて済む「保険料免除特約」を選択できますが、保険でありながら(被保険者は子どもなので)保険金はおりません。

被保険者である子どもに「万が一」が起こっても保険金(保障)はなく、それまでに支払った保険料と利息相当額が戻るだけです。

また契約後一定期間内に解約した場合には大幅に元本割れするものもあり、更には将来に受け取る「お祝い金」や「満期学資金」の合計も、支払った保険料総額を下回る元本割れをするものもあるのです。

なんのための学資保険?

昭和の高度経済成長期から平成初頭までは、世の中の物価も上がり続け、「市場金利(この説明はここでは割愛します)」も高く学資保険などの貯蓄型保険の魅力は大変高いものでした。お祝い金や満期学資金などの合計は、支払った保険料総額の150~160%と「お宝保険」と言われる学資保険もあったそうです。

しかし、1990年初頭のバブル崩壊、2008年のリーマンショック以降、世の中の物価は下がり続け、市場金利は今やとてつもなく低くなってしまいました。皆さんも銀行の普通預金及び定期預金の金利(利息)がほぼ無いことをご存知だと思います。これも「市場金利」の影響を受けていて、ほぼゼロに近いのです。

実は学資保険も、この「市場金利」に大きく影響されます。保険会社は契約者から預かった保険料を運用して満期にお金を返します。金利が高い過去においては高い受け取り率(予定利率)を約束できました。でも、今は、市場金利が低すぎて高い受け取り率の約束ができないので魅力が大変低くなっています。しかも、病気やケガなどの保障特約を付けてしまうと元本割れしてしまうことがあるのです。

周囲から勧められて加入し、大学入学時には利息が付いてまとまった学資資金が確保できると思っていたのに。よくよく検証すると結局は、元本割れし、その目減りした額で掛け捨ての病気やケガの保険に入ったのと変わりない結末となってしまいます。また契約を途中で解約すると大幅に元本割れすることも忘れてはいけません。

ましてや、これを外貨で考えるなどもっての他です。お金が必要な時に、為替レート(外貨から円に交換する値)が目論見よりも円高(説明は割愛します)になっていたら、これも同様に元本割れしてしまいます。

前号でお伝えしましたように、児童手当と月12,000円程度の貯蓄で大学に必要な資金の平均程度は安全に貯められますし、どうしてもお金が必要な時にはいつでも元本は戻ります。

それでも、「万が一に備え家族を守る保障と貯蓄性を備えた保険があると聞いたことがある。」と言う方もいらっしゃると思います。 それはいったいどんな保険なのか、続きは次号でお話しします。

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