vol.72 日本にもインフレ到来

日本にもせまり来るインフレの恐怖

「父さん、日本もインフレが来ているって聞いたんだけど大丈夫なの?そんなにモノの価格が上がっているの?」

久々に三男が質問してきました。

「モノの価格が上がっても、世の中の人たちがこれまで通りに買ってくれるならいいんだけど、買い控えたり、高くなり過ぎて買えなくなってしまい生活に支障が出るようになると困るんだ。例えば、生活するために絶対に必要な食料品、電気・ガスなどの光熱費、洗剤やトイレットペーパーなどの生活雑貨は人々の生活そのものに大きな影響を与えるよ。」

「なるほどそうだね。ぼくとか子どもにはあまり感じないけど、父さん、母さん、大人の人たちには大変なことなんだね。」

「では、少し世の中のお金のこと、経済のことについて話すね。そもそもモノには君たちが大好きなゲームや生活に欠かせない洗濯機、掃除機、テレビ、食卓テーブルに椅子などの製品以外に飲食やサービスと言われるモノまでたくさんの種類があることは知っているよね。それらがたくさん売れれば、そのモノを作っている(提供している)会社や店は利益がたくさん出て、その会社や店で働いている人たちに給料をたくさん払えるから、良いお金の流れだと言えるんだ。でも、モノの価格が上がり過ぎると、世の中の人たちはモノを買う回数を減らしたり、買わなくなるためお金(経済)の流れが弱くなるのが一般的なんだ。」

「それはわかるかも。だって、高いモノばかり買うとお金がどんどん減っちゃうもんね。」

「その通り!ところが、実は日本ではこれまでの約20年間はモノの価格が上がるどころか下がってしまっていて一部の会社は別だけど、日本全体で見た場合ほとんどの会社の利益がなかなか増えなかったんだ。そこで働く人たちの給料が増えないから、ゲーム機器など一部を除いてモノが飛ぶように売れるなんてことはあまりなかった。それなのに最近は生活に必要な身近なモノの価格が少しずつ上がり始めているんだよ。」

「えっ、世の中の人たちはモノをたくさん買わないのに価格が上がっているの?」

「モノを作るときには原材料と製作機械を動かすための燃料が必要なわけだけど、これら両方の価格が上がっていて困った事態になってきているんだ。2020年初め頃に起こった新型コロナウィルスの影響で日本では緊急事態宣言、海外ではロックダウンと言って街を封鎖して人々が外に出られないように法律で禁止した。その間はモノの流れが止まりがちになり、そこで働く一部の人たちは会社や店を辞めなくてはいけなくなった人もいて、世界規模で世の中の動きが停滞してしまった。新型コロナウィルスで亡くなられた人の数もとてつもなく多くて、全世界で500万人、日本でも1.8万人を超えた。

しかし、時を経て新型コロナウィルスワクチンが開発され、日本も含め世界中でワクチン接種が進み、モノの動きが戻り始めてきた。その甲斐あって、作られる数よりも買いたい人の数が増えて今度はモノが足りなくなる事態となり、またそこに地球温暖化による異常気象が原因でいくつかの地域で大雨や干ばつで食物価格は上がり、ラニーニャ現象による厳冬で石油や天然ガスの価格も上がり、世界規模でモノ作りが上手く回らず、ほとんどのモノの価格が上がり始めているんだよ。」

「なんか怖いね。」

「そう、日本もこれから冬に入るにあたり石油の需要も高まる。そこにコロナ禍で増えた巣ゴモリ生活からネット通販の規模も拡大し、商品を宅配するためのトラックなどの輸送需要も大幅に増えた。世界規模で同じ需要が増えたのでサウジアラビアなどの原油産出国に原油の増産をお願いしても受け入れてもらえないため、益々、燃料価格の上昇が見込まれている。これからジワジワと生活を苦しめることになりそうなんだ。燃料だけでなく、家についても、アメリカと中国で住宅を持ちたい人の数が爆発的に増えて、木材の価格が高騰してしまったウッドショックも記憶に新しいよね。コロナの完全な収束はまだ先だろうけど、経済が戻りつつある中、モノの価格上昇、いわゆるインフレが深刻になりつつあることに注意が必要なんだよ。」

「モノの価格の動きをどうやって知る事ができるの?

「それについては次回少し詳しく話すね。」

世界の中でもアメリカではモノの価格が6か月連続で高くなり続けていて、同国政府(労働省)が発表したモノの価格の動きを示すモノサシである10月の消費者物価指数(CPI: Consumer Price Index)は前年の同じ月と比べて6.2%(その前の9月と比べて5.4%)と価格上昇は物凄く大きかった。この上昇幅は1990年11月以来の31年ぶりのことだったそうだ。

これには以下の大きな問題がある。 

・原油価格の高騰

・天然ガス価格の高騰

・コロナ禍の反動による人手不足(特に運送と飲食)で賃金上昇

・モノや物資を運搬するための輸出入用コンテナ不足

・海運船が迅速な入港ができず物資が立ち往生

・世界中で半導体が不足し、自動車や電気・電子機器の供給難で中古市場が活況

コロナ禍までではあまり同時には起こらなかったことが同時に起こり、モノの供給が不足しているにも関わらず、モノを買いたい需要が大幅に上回り、モノの価格が上がる事態となっているよ。」

「これから日本はどうなるの?」

「岸田内閣が再スタートを切り、30兆円規模の経済対策を打ち出して、その内容が少しずつ報道されているけど、子どもに関係する経済対策としては、18才以下の子どもに年内に50,000円の現金、来春までにクーポン50,000万円の案が与党(自民党と公明党)でほぼ固まったようだよ。マイナンバーカード新規取得者を対象者に5,000円、更に保険証として連携すれば7,500円、預金口座とも繋げれば7,500円と最大で20,000円の給付がされるそうだ。」

「えっ!それぼくにももらえるの?!」

「基本的には生活や教育に使う目的で給付されるお金だから、きみのお小遣いにはならないよ!(笑)」

「なんだ、父さんが独り占めするんじゃん!」

「人聞きの悪いことを言わないで!(笑) 冗談はさておき、この給付金をもらえるのは嬉しいけど、日本経済のことを考えると疑問が残るのは事実だよ。昨年の国民一律10万円給付では、ある民間シンクタンクの調査では90%以上が貯蓄に回った。今回も同じではないだろうか。ただ、異なるのは日本にもジワジワと忍び寄るインフレで仕方なくお金を使うことになるため、今回の給付金は貯蓄に回らず実生活に回るかも知れないね。また、全額現金ではなく、来春給付予定のクーポンは子育て・養育・教育に用途を限定するらしいので、給付された国民が素直に使って欲しいと思うな。その時には、きみの勉強用具を買ってあげるよ!」

「勉強用具か・・・・・なんか、あまり嬉しくないかも。。。」

「引き続き、しっかり勉強に励んでね!」

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