vol.56 103万円までなら働いてもいいの?

子どもが春から進学。私もパートで仕事しようかな

今春から子どもが小学生!給食も始まれば時間に余裕もできるからパートでも始めようかしら。でも、稼ぎすぎると税金の問題があると聞いたことがあるけど教えて。

この時期にはこんなご質問をたくさん受けます。

実は税金だけではなく社会保険への加入なども義務になる可能性がありますので、ここで再度しっかりと説明したいと思います。

収入額により税金や社会保険負担が壁のように立ちはだかることから、100万円の壁、103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁、150万円の壁と称されます。

パートで働いて収める税金には所得税住民税の二種類があります。

1月1日から12月31日までの収入に対して課税されますが、一定額まではどちらの税金もかかりません。

  1. 100万円の壁:住民税

パート収入額が100万円までは非課税です。

住民税では非課税限度額(注)45万円と給与所得控除55万円の二つの合計控除額が適応されるため、100万円までは課税額が0となり、この額を超えると税金を払うことになります。

(注)非課税限度額は給与所得が100万円以下の場合に適応され、100万円を超える場合には基礎控除と名称を変え控除額は43万円になり、控除額合計が98万円に減ることに注意が必要です。

また、非課税限度額は自治体により異なり、所得が非課税限度額を1円でも超えた場合には、均等割り(東京都の場合、都民税1,500円と特別区民税3,500円の合計5,000円が課税されます。)が適応されます。扶養控除などにより控除額が増えれば課税額も異なりますので確認が必要です。

  • 103万円の壁:所得税

こちらは103万円までは非課税です。

会社に勤める正社員、派遣社員、パートもアルバイトも同じなのですが、一定額を所得額から控除する制度があるためです。

基礎控除48万円、給与所得控除55万円の二つの控除が適応されるため、合計103万円までは課税額が0となり、この額を超えると税金を払うことになります。

  • 106万円の壁:社会保険
    これまではご主人(もしくは奥さま)の被扶養者であれば、ご自身が加入する必要はないのですが、収入が106万円を超え、以下の要件にあてはまると被扶養対象から外れ、ご自身で社会保険(厚生年金と健康保険)に加入する必要があります。

要件

・所定労働時間が週に20時間以上

・正社員が501人以上(但し、労使合意していれば適応される)

・賃金収入が月88,000円(年収約106万円)以上

・雇用期間1年以上の見込みがある

・学生でないこと(夜間・定時制で対象の場合もあり)

仮に、収入が105万円の場合には所得税1,000円、住民税9,500円(東京都の場合)がかかりますが、社会保険はかかりません。しかし、107万円の収入では所得税2,000円、住民税11,500、そして社会保険料厚生年金8,052円、健康保険4,342円(40才未満介護保険無し)、5,130円(40才以上介護保険あり)の負担が必要となりますので、手取りが減ります。

  • 130万円の壁:社会保険加入義務 
    収入が130万円を超えると勤務先の規模やその他要件に関係なく社会保険加入は義務となります。
  • 150万円の壁:配偶者特別控除減額開始
    ご主人(もしくは奥さま)の給与収入が1,120万円(課税所得900万円)以下であればパート収入が150万円と超えるとご主人(もしくは奥さま)の配偶者特別控除が段階的に減り始ます。
  • 201.6万円の壁:配偶者特別控除消滅
    ご主人(もしくは奥さま)の給与所得が1,220万円(課税所得1,000万円)を超えるとこの控除はなくなります。もしくは、自身のパート収入が201.6万円を超えると、ご主人(もしくは奥さま)の配偶者特別控除もなくなります。
    控除額の減額から消滅の詳細な金額はvol.48でも述べていますのでご参照ください。

図で表してみました。

社会保険への加入は義務とになり手取りは減ってもメリットもあります。
収入を大きく増やせば社会保険料負担も増えますが、将来の年金受給額が増え、またiDeCo(vol.15参照)への加入により節税もできて老後の生活に余裕ができます。

それぞれの壁を確認しながら、いずれ訪れる老後を見据えた働き方ができるといいですね。

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