vol.19 小児慢性特定疾患医療費助成制度
子どもにも医療保険は必要ですか?その前に知っておくべき制度とは
日頃のご相談でも、子どもの医療保険は必要かとの質問は大変多いです。我が家のアイドル三男が1歳足らずの頃、ある病気で半年ほど入退院を繰り返しましたが、基本的には前号(vol.18)の子ども医療費助成制度のお陰で医療費の負担はほとんどありませんでした。
今回の内容は少し重いかも知れませんが、将来にもし子どもが重篤な病気になる、もしくは大きなケガをした場合には別途、経済的支援が受けられる制度があります。
ご一読いただき該当するかも知れないと思われた時に、このコラムを改めて読み返してもらえればと思います。
対象となる年齢
18才未満の子ども
但し、18才に到達した時点で小児慢性特定疾患医療受給者証を持っている方は20才の誕生日の前日まで延長可能です。
認定基準
・費用が高額な治療を長期間にわたり継続しなければならない者として厚生労働大臣が定めるもの(告示第462号の1)
・療養に係る負担が重い者として厚生労働大臣が定めるもの(告示第462号の2)
- 小児慢性特定疾病児童等であって、決められた症状の状態のうち、長期間(約6ヶ月以上)継続すると認められたもの
- 小児慢性特定疾病等であり、決められた症状の治療状態になると認められるもの
(注)該当の可否については主治医にご相談して下さい。
対象となる症状
・眼(眼の機能に著しい障害を有するもの:良い方の視力が0.03以下または0.04かつ他方の視力が手動弁以下)
・聴器(聴覚器官に著しい障害を有するもの:両耳の聴力レベルが100デシベル以上)
・上肢(両上肢の機能に著しい障害を有するもの、両上肢の用を全く無くしたなど)
・下肢(両下肢の機能に著しい障害を有するもの、両下肢の用を全く無くしたなど)
・体幹・脊柱(1才以上で体幹の機能に座っていることができないなど)
・股体の機能(身体の機能の障害又は長期に渡る安静を必要とする病状があり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめるもの)
対象となる治療状態(疾病群)
・悪性新生物(がん:白血病、脳腫瘍など)
・慢性腎疾患(ネフローゼ症候群、腎奇形など)
・慢性心疾患(内科的治療のみ、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症など)
・慢性呼吸器疾患(気管支ぜんそく、気管支拡張症など)
・内分泌疾患(成長ホルモン分泌不全低身長症など)
・糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病など)
・膠原病(若年性関節リウマチなど)
・先天性代謝異常(糖源病、ウィルソン病など)
・血液疾患(血友病、突発性血小板減少性紫斑病など)
・免疫疾患(免疫不全を伴う特徴的な症候群など)
・神経・筋疾患(ウエスト症候群、先天性ミオバチーなど)
・慢性消化器疾患(胆道閉そく症、先天性胆道拡張症など)
・染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群(ダウン症候群など)
・皮膚疾患(レックリングハウゼン病など)
負担額
健康保険で治療した自己負担分が助成されます。お住まいの市区町村への住民税負担額に応じて助成額(自己負担上限額)は異なります。
指定医療機関
あらかじめ各都道府県が指定した医療機関(指定医療機関)で医療を受けた場合のみ、この助成が受けられますのでご注意下さい。
詳細はお住まいの市区町村にご確認下さい。
日常に起こる子どものケガや病気だけでなく特定疾患に認定された場合、収入の水準により医療費自己負担の割合は異なりますが、多少なりとも軽減できることは大変心強いと思います。
それでも根本的に不安な方や、入院に付き添う、もしくはお見舞いのための交通費などの負担を軽くしたいなら医療保険のご検討をされても良いとは思いますが、私の個人的な意見としては、さほど必要ないと思っています。 この制度を知り、少しでも経済的不安をなくし、治療に専念してくだされば幸いです。