vol.58 住宅資金贈与非課税制度を改めて確認しよう!

おじいちゃん、パパが家を買おうかなって言ってるよ!

家族を連れて久々に実家に帰省した時のこと。子どもがおじいちゃんに駆け寄り言いました。

「おじいちゃん、パパが家を買うかもしれないんだよ!」

その言葉に、おじいちゃんはこう反応しました。

「そうか、それはいいタイミングで話を聞いたぞ。ちょうど将来の相続のことを考えていてFPに相談したら、お前たちが住宅を買う時の資金を税金がかからずお金を渡せる方法があることを聞いたんだ。それは相続まで待たなくても、ワシが生きている間に援助という形で贈与できるそうなんだよ。」

こんな会話がきっかけで資金援助の話が進むケースもあるようです。

直系尊属からの住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度

父母または祖父母(直系尊属)から住宅資金を受けた場合に、一定額までは税金がかかりません。今年からその一定額が引き下げられる予定でしたが、景気浮揚策の一環として今年年内は引き下げられず据え置かれました。
来年以降存続の有無も現時点では不明ですが、今年中に購入を予定している方で利用できれば住宅ローン返済はかなり楽になります。 この制度についてはvol.11でも説明しましたが、その後、令和3年度税制改正が昨年末に閣議決定され、その一定額が増額変更(一番右側の列)されていますので改めて見てみましょう。

(注1)省エネ等住宅:省エネ等基準(①断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること又は③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であることにつき、下表のいずれかの証明書などを贈与税の申告書に添付することにより証明されたものをいいます。
(注2)個人間の売買で、建築後使用されたことのある住宅用の家屋(中古住宅)を取得する場合には、原則として消費税等がかかりませんので「上記以外」になります。

このコラムが公開される時点では一番右側の数字が基本になりますが、住宅購入の契約日を基に参照してください。

受贈者(もらえる人)の要件

ア.直系卑属(子か孫)であること(ご両親・ご祖父母などを直系尊属と言います。)

イ.贈与を受けた年の1月1日に20才以上

ウ.贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下、対象住宅延床面積は50㎡以上240㎡以下及び今回の税制改正では追加で、合計所得が1,000万円以下は延床面積要件が40㎡以上240㎡以下に引き下げられ緩和されました。

エ.平成21年から平成26年にこの非課税の特例を受けたことがない

オ. 配偶者や尊属など一定の特別関係のある人から住宅用家屋の取得をしたものではな

い。またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではない。

カ. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに全額を充てて家屋の新築等が完成(または完

成に準ずる証明がなされた場合)し、その家屋に居住する見込みである。

キ. 贈与された時に日本国内の住所がある。

今回の税制改正のポイントは、非課税枠となる一定額が変更されたことと、対象になる住宅の延床面積が40㎡以上にまで下げられたことです。(但し、上述の所得制限あり)
これは前号(vol.57)の住宅ローン控除にも適応されますので、ワンルームマンションなど昨年度までは対象にならなかった物件でも適応になる物件が増えています。 ご両親だけでなく、ご祖父母からの愛情が継承される制度ですので、利用できる方はぜひご活用くださいね。


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