vol.33 子どもと一緒に投資をはじめてみませんか? その4
コロナショックで株式市場は大暴落でも安定している投資先とは?!
新型コロナウイルスは全世界を呑み込み、私たちは毎日気を抜けない生活を余儀なくされています。東京オリンピック2020の開催も1年をめどに延期されることとなり、世の中には暗雲が立ち込めています。
先進国を中心に各国政府による財政経済政策並びに中央銀行による金融政策により、経済活動が落ち込み大不況や大恐慌とならないよう手を尽くそうとしています。それでも実生活は安心できない日々が残念ながらもう少し続きそうです。
最近「投資」を始めた方は、いきなり味わった株式市場の大暴落をどうご覧になっているでしょうか?
vol.31でお伝えしました株式投資は「身近なところから始めてみる」、そのひとつとして株主優待の話をしました。
とは言え、株式投資ですから株価の値上がりに期待は募りますし、大暴落には心が落ち着かず不安になるかと思います。
さて、その後のイオンの株価は今回のコロナショックによりどうなったでしょうか。
日経平均株価のチャート
黄色のマーカーが示すように、海外の株式大暴落と共に日経平均株価は24,000円近辺から16,000円手前まで30%を超える下落を記録しました。その後、執筆現在19,000円超まで回復しましたが、大暴落前から未だ20%以上下落したままで乱高下を繰り返しています。
イオンの株価チャート
日経平均株価の30%以上の大暴落に伴い、一時的には同様の下落を記録したものの回復が早く、執筆現在、大暴落前の水準を完全回復しています。
これは偶然なのでしょうか。
心苦しいお話しになりますが、エンターテイメント施設は休園を余儀なくされ、飲食店では客足は激減し、売上の減少だけでなく経営自体が危ぶまれています。
一方、スーパーは私たちの生活に欠かせない食品や身の回り必需品を扱うため、客足がなくなることはない業態でもあります。
株主優待や配当金も期待ができて、世の中の不況時にも比較的安定的な株価推移となることが確認できた感じです。
では、同業他社ではどうなったでしょうか。
ライフコーポレーションの株価チャート
7&IHDの株価チャート
イトーヨーカ堂の持ち株会社7&IHDの株価は完全回復にはまだ時間がかかりそうです。
つまり、スーパーならどれでも良いと言うわけにはいかないところが株式投資の難しいところですが、投資をする会社の業態を見極めて、ご覧のチャートのように同業種で比べることも必要です。
そこに少し専門的にはなりますが、3つ数値のチェックをして欲しいです。
PER「株価収益率」とPBR「株価純資産倍率」そして「配当利回り」です。
PER「株価収益率」
『1株当たりの株価がその会社の1株当たり利益の何倍か』を示す数値で、つまり、その会社の利益実現性の期待値のようなものです。業種により異なりますし、この数値の見通しをして株の売買がなされます。慣れてくると株価のトレンドや経済全体の動きを見れば、毎回チェックせずとも感覚でわかるようにもなりますが、初心者の方は必ず見て欲しい数値です。 上場株式全体のPER平均、業種PER平均と比べて割安か割高かをチェックします。
上場(市場)全体(4138社)で14.4倍です。
これもYahooファイナンスにて無料で見られます。
イオンは『小売業』に属し、業界平均や類似会社と比べるのですが、ここからは個別にチェックしてみましょう。『小売業』全体ではPERは22.5倍と相対的に高めですが、業種の安定性もあり、PERが高くても買われる傾向にあります。
その他、多角化によるグループ全体の経営状態などにも影響されますし、初心者には少し辛い作業かも知れませんが、このあたりだけでも調べていただけたらと思います。
イオンのPERは執筆現在の株価2,324円で約64.8倍です。今回比べたライフコーポレーションは約12.5倍、7&I HDは14.4倍です。イオンは過去にダイエーを買収し、その時のコストが未だ営業利益の足かせとなり、実質的な収益からみた株価は高めになっていますが、個人投資家にも人気があり、高めのPERになっています。
ここで更に『配当利回り』もチェックします。
イオンは1.55%、ライフコーポレーションは1.58%、7&IHDは2.64%で、ここに株主優待が加わり人気度合いが異なるのです。ご自身の生活に密着している会社なので、あとは利用頻度や買い物の金額により総合的に判断することになります。
中級者以上になると貸借対照表や損益計算書、更に慣れてくると、各証券会社のアナリストによるレポートなども参考にして投資判断の幅を拡げていきます。この手のレポートで大きく株価が変動することもあることを知っておいてください。
このお話は更に次号に続きます。
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