vol.10 住宅ローンの組み方その3

絶対に知っておこう!夢のマイホーム 住宅ローンの組み方 その3

住宅ローンを借りる時に考えるべきことが5つあります

  • 誰が借りるか
  • いくら借りるか(本当に返せるか)

vol.8ではここまで

  • 住宅ローン金利の種類をどうするのか

vol.9ではここまでのお話をしました。

今回は

  • 住宅ローン控除を有効利用できるか

 住宅ローンを組んだ人は、その年に支払った所得税(全額もしくは一部)を取り戻す権利(上限あり)が発生します。所得税だけでは、その権利の上限に達しない場合には住民税が減税されます。

正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。

住宅ローンの借入れが始まった年の翌年の確定申告で申請をすれば、会社勤めの方なら、翌年以降の手続きは会社で行ってくれます。では、その条件や内容を見てみましょう。

 所得税を取り戻す権利の条件(住宅ローン控除対象者)

  • 個人で借りた住宅ローンである
  • 物件を取得してから6ヶ月以内に住み、この控除を受ける各年の12月末日まで引き続き住んでいること

ウ.合計所得金額が3,000万円以下

エ.床面積が50㎡以上で1/2以上が居住用であること

 購入する物件の建築性能、新築、中古などの条件により適応、不適応となります。

所得税を取り戻す権利の内容

  • 毎年12月末日の住宅ローン残高の1%に相当する額(上限50万円1
  • 住宅ローンを借りた年から、向こう10年間に渡り取り戻せます。

注1 長期優良住宅の場合(それ以外は上限40万円)

今年10月に予定されている消費増税後は修正される部分がありますのでご注意下さい。

(今年10月に消費増税されると、住宅取得費の一部も加算され控除額が増額されます。)

条件詳細は国税庁HPをご覧下さい。

ここで、重要なことは、vol.8の①で説明しました「誰が借りるか」と関係することです。

この住宅ローン控除は借りた人が支払った税金を取り戻す権利です。

借りた人がパパ単独なら、パパが支払った税金しか戻りませんが、ママも一緒に借りたら、パパ、ママそれぞれ支払った税金が戻ります。

借りる人が一人の場合と、二人の場合、それぞれの収入に伴い支払った(もしくは将来に支払う)税金の金額を検証する必要があります。

具体的な例を見て検証してみましょう。

例:住宅ローン借入額5,000万円、長期優良住宅購入で所得税を取り戻す権利50万円

ア.パパ年収700万円、ママ年収100万円の場合(扶養控除は考慮しません。)

パパ所得税(年間)約36万円、住民税(年間)約40万円、ママ所得税無し、住民税無し

この場合は、ママも借りても所得税も住民税も支払っていないので戻る税金はありません。

パパ単独で5,000万円を借りて以下の税金が取り戻せます。

先ず、所得税全額の36万円が取り戻せます。しかし、取り戻す権利の50万円に達していないので、不足分として住民税が減税されます。

その具体的な減税額は、課税所得金額の7%か13.65万円のいずれか低い方(2014.4~2021.12に居住の場合)が現在のルールなので、この例の場合には上限の13.65万円が減税対象額となります。

よって、取り戻せる税金額は49.65万円となります。

ママは所得税無し、住民税無し、もしくは専業主婦の場合にはパパだけで借りて下さい。

  • パパ年収400万円、ママ年収400万円の場合で借入額は2,500万円ずつとします。

パパ所得税約10万円、住民税約20万円

ママ所得税約10万円、住民税約20万円

パパが取り戻せる所得税は借入額2,500万円×1%=25万円ですが、パパの所得税10万円と住民税減税上限額の13.65万円の合計で取り戻せる税金額は23.65万円しかありません。仮にパパ単独で5,000万円借りて、取り戻せる所得税の権利が5,000万円×1%=50万円となっても、実際に取り戻せる税金額は23.65万円と2,500万円借りた場合と変わりません。

しかし、ママもパパと同額を借りれば、同様に23.65万円が取り戻せるので、世帯として取り戻せる税金額は倍の47.3万円になります。

ママも一定の収入があり税金を支払っていて、今後もずっと働くのであれば、パパ・ママ一緒に借りると良いでしょう。

誰がどのように借りるべきか、それはご夫婦のライフプランにより異なります。

パパ単独なのか、ママも借りる方が良いのかを判断するには、将来の収入見込みと戻る税金額をよく検証して決める必要があることはご理解いただけたと思います。

 しかし、ただ単純に戻る税金額だけを見るのではなく、産後のママの体質変化の可能性なども含めて、計画通りの収入を確実に得られるのかなど、しっかりと将来を見据えて決断することをお勧めします。  このお話は、あともう1回次回に続きます。

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